もうすぐUbuntu 12.04 LTSのリリースですね。私がUbuntu 8.04 LTSから使い始めて9代目、使い続けて4年になろうとしています。
そこで、自分なりにUbuntuを使い続けた理由を、まとめてみたいと思います。
Ubuntuのインストール手順は、まず、ダウンロードページからISOイメージ(Ubuntu 11.10 デスクトップ版では約700MB)をダウンロード、ライティングソフトでライブCDを作成します。
※ Ubuntu Download: http://www.ubuntu.com/download/ubuntu/download
インストールを開始する前に、まずは、ライブCDからUbuntuが起動できるか試してみましょう。
無事起動できたら、ネットワークがつながるか、画面表示が正常かなどの動作確認をして、問題なければそのままインストールを開始します。
最初に、ディスク領域の割当てやユーザー情報の入力など、いくつかの質問に答えるだけで(インストール時間短縮のため、同時進行でファイルのコピーも行われる)、登録や認証などのわずらわしい作業は、一切不要です。
あとは、放っておけば、30~40分程度でインストールが完了します。
今まで8回のバージョンアップを経験しましたが、インストール自体を失敗したことはありません。また、インストール後のトラブルも、9.xで無線LANがつながりにくかった、古いプリンタが使えなかった、ということぐらいですね。
私が使用しているWindows XPマシン(EPSON NJ1000)と、Ubuntuとの相性がよかった、ということもあるでしょうが、数あるLinuxディストリビューションの中でも、ノートPCやデスクトップPCとの高い互換性があるのは、やはりUbuntuだと思います。
以下、Ubuntu Certified hardware(Ubuntu認定のPCリスト)や、ubuntu forumsによるのハードウェアの互換性リストなど、Ubuntuをインストールするパソコンを選ぶ際に、参考になるサイトをいくつか紹介します。
※ Ubuntu Certified hardware http://www.ubuntu.com/certification/
※ HardwareSupport - Ubuntu Wiki https://wiki.ubuntu.com/HardwareSupport/
※ Desktop Hardware Compatibility List - ubuntu forums http://ubuntuforums.org/showthread.php?t=361236
※ Laptop COMPATIBILITY List - ubuntu forums http://ubuntuforums.org/showthread.php?t=1543006
※ Linux Hardware Compatibility List http://linuxhcl.com/
※ HardwareSupport - Ubuntu Japanese Team Wiki https://wiki.ubuntulinux.jp/HardwareSupport
Ubuntuデスクトップ版のシステム要件は、Ubuntu 11.04 Unityで、1GHz CPU(x86)、1GBのメモリ、15GBのハードディスク空き容量です。
※ Installation System Requirements https://help.ubuntu.com/community/Installation/SystemRequirements
初期のものを除いて、Windows XP以降のWindowsマシンなら、ほとんどがクリアできるシステム要件ではないでしょうか?
私の環境は、CPU Intel Celeron M430 1.72GHz、メモリ1GB、内臓ハードディスク40GBなので、Unityだとほぼぎりぎりですね。
Ubuntu起動時のメモリ使用量は、Windows XPライクなデスクトップ環境「Cinnamon」なら、約200MBと少ないです。
例えば、私がブログを書くときに起動するアプリは、Google Chromeでタブ3~5個開く、Nautilus、Leafpad、GIMP、Ksnapshot、それと記事にするアプリ、他にもSysPeekやGlipperがパネルに常駐しています。
これだけのアプリを起動しても、メモリ使用量530MB、スワップはわずかに50MB未満で、十分に快適に動作します。
マルチメディア関係は、私のPCのスペックでは重く感じるときもありますが(そろそろCore i3かi5のPCに買い換えようかと思ってます。)、それでもYouTube動画や、ローカルに保存した720p HD動画であれば、ふつうに再生できますよ。
Ubuntuでは、だいたい週に2~3回、ソフトウェアやセキュリティのアップデートがあります。
アップデートがある場合は、Ubuntu起動後に「アップデートマネージャー」が自動的に開いて、更新を知らせてくれます。
更新処理は数分で終わり、アップデート中でも、原則として作業を中断してアプリを終了する必要はありません。
また、数ヶ月に1回程度あるLinuxカーネルのアップデート以外は、Ubuntuを再起動する必要もありません。
Ubuntuでは、数千のアプリケーションを、インターネット上のリポジトリから無料でインストールでき、アプリの追加や削除の方法は、主に3通りあります。
Ubuntuソフトウェアセンターでは、ビジュアルでアプリの画像を見ながら、好みのアプリを探してインストールできます。また、リポジトリにないdebパッケージを追加するときも、ソフトウェアセンターを使います。
インストールしたいアプリが決まっているときは、より高速にインストールできる「Synapticパッケージマネージャ」を使います。
また、PPAから最新のアプリをインストールするときなどは、そのまま端末のコマンドラインからインストールします。
これらアプリの追加や削除に共通することは、パッケージ管理システムにより依存関係が保たれるということです。
依存関係とは、あるアプリをインストールするときに、その動作に必要なパッケージを自動的に検出してインストール、また、削除するときにも、他のアプリで使用するパッケージは削除しない、という機能です。
パッケージ管理システムのおかげで、ユーザーは特に知識がなくても、アプリケーションの追加や削除を気軽にできるわけですね。
私は、年間70~80回ぐらいは、アプリケーションの追加と削除を行いますが、アプリの追加と削除でUbuntuの動作がおかしくなったことはありません。
※ リポジトリ: Ubuntuアプリのパッケージが保管してある場所。公式リポジトリは、Main、Restricted、Universe、Multiverseの4種類あり、サポートやライセンスが異なる。
Repositories Ubuntu https://help.ubuntu.com/community/Repositories/Ubuntu
※ debパッケージ: Debian系のLinuxで利用されるソフトウェアパッケージ。主にアプリの開発者サイトからダウンロードしてインストールできる。
※ PPA(Personal Package Archive): Ubuntu開発の中心であるプロジェクトホスティングサイトLaunchpad内で、アプリ開発チームまたは個人ごとに管理しているリポジトリ。最新のアプリをインストールできる。
Windows XPからUbuntuに乗り換えて4年、無料のアプリだけで特に困ったことはありません。
挙げるときりがないので、ここでは私がメインで使っている、おすすめのUbuntuアプリを紹介します。
【 Webブラウザ 】
最近は、Google Chromeがメインです。Firefoxを使っているとUbuntuがハングアップすることが多かったのですが、Chromeは安定していますね。
【 メールクライアント 】
Gmailがメインなので、あまり頻度は多くないのですが、「Thunderbird」が使いやすいですね。他にも「Evolution」や「Sylpheed」がおすすめです。
【 オフィスソフト 】
LibreOfficeがあれば、他は必要ないかも。もちろんWordやExcelとの高い互換性があります。PDFビューアは、とにかく動作が軽いものが好きで、「zathura」や「MuPDF」を使っています。
【 音楽プレイヤー 】
「Minitunes」が、シンプルで使いやすいですね。MP3のタグ編集には、「Ex Falso」が便利です。
【 動画プレイヤー/動画変換 】
最近は、VLCよりも「SMPlayer」がメインですね。動作が安定していて、スムーズに再生できます。
動画変換は、「WinFF」が一番安定して使えますね。変換するだけで、海外動画の字幕を削除することもできます。
【 CD/DVDリッピング CD/DVD作成 】
CDリッピングは「Asunder」がシンプルで使いやすく、DVDリッピングなら「Arista」や「OGMRip」が、豊富なプリセットが利用できるので便利です。
動画ファイルからDVD-VideoフォーマットのISOイメージを作るなら、「DeVeDe」がDVDメニューも作成できて簡単です。
ISOイメージの書き込みには、「GnomeBaker」や「Xfburn」を使っています。また、DVD-VideoフォーマットのISOイメージは、TotemやVLCでファイルを開くだけで簡単に再生できますよ。
【 グラフィックス 】
画像ビューアは画像の一括変換もできる「gThumb」、画像編集には「GIMP」を使っています。画面キャプチャを撮るなら、「KSnapshot」が使いやすいですね。
【 アクセサリ 】
テキストエディタは超軽量の「Leafpad」、アーカイブの解凍は「Ark」なら解凍したフォルダ名が文字化けしません。クリップボードマネージャは、パネルのインジケーターで使うタイプの「Glipper」が便利です。
Ubuntuのホームフォルダで、「Ctrl+H」キーを押すと、先頭にピリオドが付いたフォルダが、たくさん表示されます。
これらは、アプリケーションごとに、ユーザーの設定を保存しているフォルダです。
アプリによって、ホームフォルダ直下に設定フォルダを生成するか、「.config」フォルダ内に生成するかは異なります。
Synapticで完全削除指定して、アプリケーションを削除しても、設定フォルダが削除されることはありません。もう一度同じアプリをインストールすれば、いままでと同じ設定で使うことができます。
また、設定フォルダをバックアップしておけば、Ubuntuをインストールしなおした場合でも、そのフォルダをホームフォルダに戻すだけで、同じ設定を使うことができます。
OSの一番重要な要素、私はユーザーインターフェースだと思います。使いにくいインターフェースで、好きになれないのでは、それ以上のことは望めません。すべてがストレスになります。
Linuxでは、OSのインターフェースのことを「統合デスクトップ環境」といいます。
Ubuntuのデスクトップ環境は、11.04でGNOMEからUnityに変更になりました。Unityはランチャーの位置が固定されるなど、カスタマイズ性が低く、好きになれないユーザーも多かったようです。
それでも、Ubuntuでは特に問題ではありません。デスクトップ環境を自由に変更できるからです。
他のLinuxディストリビューションで採用されているGNOME、KDE、Xfceなど、複数のデスクトップ環境から、好みのものを選んでインストールすれば、ログイン画面で選択するだけで、すぐに切り替えることができます。
最近、新たに開発されたCinnamonは、GNOME2のWindows XPライクなインターフェースに、GNOME3の最新機能を搭載したデスクトップ環境で、Unityよりも動作が軽くお気に入りです。
また、デスクトップテーマやアイコンテーマは、deviantARTやGNOME-LOOKから、好みのものをダウンロードして適用できます。膨大な数のテーマが登録されており、更新頻度も高いので、飽きないですね。
Ubuntuには、Windows XPのようなデフラグツールはありません。というか、必要ないんですね。
Ubuntuのファイルシステムは、ext4(fourth extended file system)が採用されています。
ext4には、extent file writingという、ファイルの断片化を防ぐための機能が搭載されているので、ハードディスクが断片化して処理速度が落ちるということが、発生しにくくなっています。
まだ、ディスクエラーを発見して修復するためのディスクチェックも、ほんの数十秒で終わります。
ディスクチェックは外付けのハードディスクならUbuntu標準の「ディスクユーティリティ」から、ブートディスクなら「forcefsck」コマンドから実行できます。
さらに、ディスクユーティリティには、SMARTを利用したセルフチェック機能もあり、常にハードディスクの健康状態を監視できます。
※ SMART(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology): ハードディスクに内臓された自己診断機能のこと
UbuntuなどのLinuxが、ウイルス感染しにくいといわれるのには、いくつかの理由があります。
まず、一般的な理由として、圧倒的にユーザーが少ない(世界のデスクトップユーザーの1%以下)、そして、カーネルが頻繁にアップデートするので、ウイルスプログラムが動作しなくなる可能性もあり、ウイルス作成者の割に合わない。
また、Linuxを使っているユーザーは、Windowsユーザーよりも技術力が高くセキュリティ意識も高い、ということも言われています。
ネットワークについては、Ubuntuはデフォルトですべてのポートを閉じており、ファイヤーウォールの設定も「Gufw」で簡単にできます。
アプリケーションのインストールで、ウイルスに感染する可能性についてですが、Ubuntuの公式リポジトリで保管されているアプリは、徹底的にテストされているそうなので、まず安全といっていいでしょう。
また、PPAもLanchpad管理下にあるので、公式ほどではないにせよ安心できると思います。
個々のdebパッケージやテーマのアーカイブについては、私はダウンロードした直後に「ClamTk」でスキャンすることにしていますが、いままでウィルスが検出されたことはありません。
万一ウイルスが侵入したとしても、Ubuntuにはいくつかの対策が施されています。
まず、Ubuntuは、拡張子だけでファイルの属性を判断することはないため、拡張子の偽装は意味がありません。
そして、Ubuntuのファイルには、読み取り権限、書き込み権限以外にも、「実行権限」というものがあります。
ブラウザからのダウンロードやメール添付のような、外部からの実行ファイルには「実行権限」が与えられないため、ウイルスプログラムが侵入して実行しようとしても、こちらから権限を与えない限り実行できません。
さらに、「AppArmor」という機能もあります。これは、プロファイルのデータベースにより、本来の動作と違う動作をするアプリケーションの実行を防ぐ、という機能でUbuntuでは7.10以降デフォルトで有効になっています。
AppArmorにより、裏で不正行為を処理するような、偽装アプリケーションの実行も難しくなっています。
※ AppArmor - Ubuntu Wiki https://wiki.ubuntu.com/AppArmor
ユーザー側のウイルス対策としては、Ubuntuデスクトップには、Windowsのような常駐型アンチウイルスソフトは必要ありません。というか、私の知る限りないですね。
ただし、ブラウザやメール経由でウイルスが侵入し、それをWindowsユーザーに渡してしまう危険性はあります。Windowsユーザーにファイルを送信する前には、必ず、ClamTkなどでスキャンしてから渡すようにしましょう。
※ Linuxvirus - Community Ubuntu Documentation https://help.ubuntu.com/community/Linuxvirus
最後に、「Ubuntuは楽しい」、これがUbuntuを使い続ける最大の理由です。
Ubuntuでいろいろなアプリを試すのが楽しい、デスクトップをカスタマイズするのが楽しい。海外の関連サイトをみて知識が増えていくのが楽しい、バージョンアップして新機能に触れるのが楽しい、そして、トラブルを解決できたら嬉しい。
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不満なのはゲームくらいです